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開業届個人事業主の社会保険について知っておくべきこと

目次

はじめに

開業届個人事業主として事業をスタートする際、多くの方が社会保険制度について疑問を抱きます。個人事業主の社会保険は会社員時代とは大きく異なり、適切な理解なしに開業すると思わぬ負担や手続き漏れが生じる可能性があります。本記事では、開業届提出から従業員雇用まで、個人事業主が知っておくべき社会保険の全体像を体系的に解説します。

開業届個人事業主の社会保険について知っておくべきこと

開業届個人事業主の社会保険制度は、主に国民健康保険と国民年金が基本となります。会社員時代の厚生年金・健康保険からの切り替えが必要で、保険料負担も大きく変わります。

個人事業主本人は原則として国民健康保険・国民年金への加入が義務付けられており、月額保険料は前年所得に応じて決定されます。国民年金の保険料は令和5年度で月額16,520円、国民健康保険は自治体により異なりますが年間20~80万円程度が一般的です。

従業員を雇用する場合は、常時5人以上であれば社会保険の強制適用事業所となり、厚生年金・健康保険への加入義務が発生します。

開業届とは ― 必要性・義務・メリット

正式名称:個人事業の開業・廃業等届出書
提出義務:個人事業やフリーランスとして事業所得(不動産・山林含む)が生じる場合、税務署への提出義務があります(開業日から1ヶ月以内が原則、罰則はなし)。

開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)は、事業開始から1ヶ月以内に税務署へ提出する義務があります。提出により以下のメリットが得られます:

        • 青色申告特別控除:最大65万円の所得控除
        • 屋号での銀行口座開設:事業用口座の開設が可能
        • 各種融資・補助金の申請:事業者証明として活用
        • 赤字の繰越控除:最大3年間の損失繰越が可能

デメリットとしては確定申告義務が生じることですが、事業所得がある以上は開業届の有無に関わらず申告が必要なため、実質的なデメリットはありません。

提出方法:税務署窓口・郵送・e-Tax(電子申告)で可能。freee、マネーフォワード、弥生などのクラウドサービス利用もおすすめ。

給与支払事務所等の開設届出書 ― 税務署向けの給与届出

従業員や家族に給与を支払う場合、源泉徴収義務が発生し、給与支払事務所等の開設届出書を税務署に提出する必要があります。提出期限は給与支払い開始から1ヶ月以内です。

この届出により、源泉所得税の納付書や年末調整関連書類が税務署から送付されるようになります。従業員数に関係なく、1人でも給与を支払えば提出義務が生じます。

社会保険加入義務との違い・補足

給与支払事務所の開設と社会保険加入は別の手続きです。社会保険の加入要件は以下の通りです:

法人の場合:従業員1人でも厚生年金・健康保険への加入義務
個人事業主の場合:常時5人以上の従業員雇用で強制適用事業所となり、社会保険加入義務が発生

手続きは年金事務所で行い、雇用保険・労災保険は別途ハローワーク・労働基準監督署での手続きが必要です。

家族雇用と他人雇用の比較

家族雇用と他人雇用では、税務・労務上の取り扱いが大きく異なります:

家族雇用の場合

        • 青色申告での青色事業専従者給与届出書提出が必要
        • 同居親族は雇用保険の被保険者になれない
        • 労災保険は原則対象外

他人雇用の場合

      • 給与の経費計上に特別な要件なし
      • 週20時間以上勤務で雇用保険加入義務
      • 全員が労災保険の対象
項目 家族(親族)雇用 他人(親族以外)雇用
経費計上の条件 青色申告+
青色事業専従者給与届出書提出
要件なし(給与実態があれば可)
雇用保険 同居親族は原則被保険者になれない 週20時間以上・31日以上見込み等で必須
労災保険 一部例外除き対象外 全員加入
社会保険 人数・事業所要件満たせば加入義務(状況により適用除外等あり)5人未満は不要 同様
必要書類 青色事業専従者給与届出書、給与支払事務所開設届 給与支払事務所開設届

フローチャート(雇用・開業における届出の流れ)

  1. 開業届提出(税務署)
  2. 給与支払い開始時:「給与支払事務所等の開設届出書」提出
  3. 従業員雇用時、必要に応じて
    ― 家族なら「青色事業専従者給与届出書」提出(青色申告時)
    ― 雇用保険・社会保険の新規適用手続き
  4. 労災保険の適用判断

個人事業主の雇用5人未満の場合

2025年現在、個人事業主が雇用する従業員が「常時5人未満」の場合、社会保険(健康保険・厚生年金)への加入義務はありません

  • 雇用人数が「5人以上」かつ法定17業種(多くの業種が該当します)に該当する場合には、個人事業主でも社会保険(健康保険・厚生年金)の強制加入義務が生じます。

  • 5人未満の場合は「任意適用事業所」として希望すれば加入可能ですが、従業員の過半数の同意など所定の手続きが必要です。

なお、労災保険と雇用保険は、従業員を1名でも雇用すれば加入が義務付けられていますので注意してください。
社会保険と労働保険(雇用・労災)は制度や適用条件が異なるため、混同しないようにしましょう。

まとめ

開業届個人事業主の社会保険制度は複雑ですが、適切な理解により節税効果と事業の信頼性向上が期待できます。開業届は青色申告や各種優遇制度の前提となる重要な手続きです。

  • 開業届は節税・信用・法的管理の出発点。青色申告や各種優遇の前提でもある。
  • 給与支払い時は税務署・社会保険のダブル手続きが必要。義務やタイミングに注意。
  • 家族雇用と他人雇用では、税法・労務の扱いが異なるため、書類や保険の適用に留意。
  • 開業+雇用開始時は、諸手続きの「同時並行実施」が実務として最も効率的。
各種届出や社会保険の詳細は、必ず最新の行政・税務署・年金事務所公式情報や専門家の助言もご確認ください。
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